白内障や緑内障や網膜萎縮などの進行性の病気では、早い段階で治療を開始することにより進行を遅らせることができるものもあります。
しかし、聴覚や嗅覚の優れている動物たちにおいては、視覚が軽度に低下しただけでは特に変化が見られない場合が多く、治療が遅れてしまうことがよくあります。
初期の病変を診断するため、さらには肉眼ではわからない病変を発見するために眼科では特殊な検査が必要になります。
◯ 細隙灯顕微鏡(スリットランプ)検査
スリット光と言われる特殊な細い光を用いることで、目の表面だけでなく前眼房(角膜の内側)や水晶体の状態を詳しく調べることができます。
白内障の診断に必要です。

細隙燈顕微鏡(スリットランプ)

スリット光をあてた目の様子

白内障
◯ 角膜染色検査
角膜や涙の状態を調べる検査です。角膜表面に傷がある場合、染色液が付着し黄緑色に染色されます。

緑内障

染色された角膜
◯ 涙量検査
涙には、まぶたの動きをなめらかにしたり角膜などに栄養分を補給したり目の表面を保護したりする役割があります。
涙量を測定することにより乾性角結膜炎(ドライアイ)の診断を行います。

乾性角結膜炎
◯ 眼圧検査
目の中には眼房水という水が入っており、これにより目の形や硬さが保たれています。
この眼房水の圧力を眼圧といいます。
眼房水は毛様体で産生され隅角という部位から排出されていますが、何らかの原因で眼房水が排出されにくくなった結果、眼圧が上がり痛みや視覚障害(失明)を起こす病気が緑内障です。

トノペット(眼圧計)
◯ 眼底検査
眼底とは目の一番奥の部分で、網膜で覆われ視神経乳頭がみられます。
観察するには散瞳処置(瞳孔を開かせる)後、特殊なレンズを使用します。
網膜はカメラに例えるとフィルムに相当する部分で、異常が起こると失明することがあります。

非球面レンズ

トランスイルミネーター

クリアビュー

正常な眼底像

進行性網膜萎縮